工場での重量物運搬に欠かせないホイストクレーン(天井クレーン)。日頃から安全を意識していても、「危うく事故になりかけた」というヒヤリハットは決して珍しくありません。重大事故を防ぐには、小さな異変や不安全行動に早く気づき、対策を徹底することが重要です。
本記事では、労働災害で多い吊り荷事故の傾向と、日常の運用に活かせる安全対策のポイントをまとめています。
ホイストクレーン(天井クレーン)とは?
ホイストクレーンは、荷物の昇降を行うホイストと、吊り上げた荷を水平移動させるクレーンを組み合わせた装置です。
ロープやチェーンを巻き上げる電気ホイストが搭載されており、重量物を効率よく運搬できることから、工場や加工場、建設現場など幅広い現場で使用されています。
ホイストクレーン(天井クレーン)における労働災害の特徴
ホイストクレーンによる労働災害の多くは、吊り荷の落下が原因です。
- 吊り荷全体が落下する
- 一部の部材が抜け落ちる
- 荷が揺れ、周囲の作業者に接触する
これらは、人的被害だけでなく製品破損やライン停止など、企業にとって大きな損失につながります。
ホイストクレーンのヒヤリハットを防ぐための4つのポイント
ホイストクレーンによる事故は、適切な管理・教育・設備保全によって大きく減らすことができます。特に重視すべきポイントはこちらの4つです。
1. オペレーター教育の徹底
クレーン操作を行うオペレーターは、現場安全の要です。
操作手順や危険ポイントを正しく理解し、判断できる人材を育てることで、不安全操作による事故は大幅に減少します。
新人教育だけでなく、定期的な安全講習も効果的です。
2. 作業手順の標準化
作業者によって手順が異なると、「抜け漏れ」や「思い込み」が発生しやすくなります。
誰が操作しても同じ流れで作業できるよう、標準手順書の整備・掲示・再教育を行うことで、ヒヤリハットの低減につながります。
3. 安全装置の設置と定期確認
ホイストクレーンには、法令で安全装置の設置が義務づけられています。
- 過巻防止装置
- 過負荷防止装置
- 非常停止装置
これらが正常に作動しなければ、重大事故につながるリスクが高まります。
設置後は必ず作動確認を行い、定期的な点検・整備を実施することが重要です。
4. 定期的な点検・修理・メンテナンス
ホイストクレーンは、以下の点検が義務付けられています。
- 作業開始前点検(毎回)
- 月次点検
- 年次点検
摩耗・劣化した部品をそのまま使うと、落下事故のリスクは一気に高まります。小さな異音や動作の違和感も見逃さず、必要に応じて部品交換・修理を行うことが、安全確保の大きなポイントです。
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