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ホイストクレーンにおける定期点検の重要性

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工場や倉庫で大活躍するホイストクレーン。重量物を安全かつ効率的に運搬するために不可欠な存在ですが、その安全性を保つためには定期的な点検が欠かせません。

点検を怠ると、思わぬ事故やトラブルにつながる可能性があります。今回は、ホイストクレーンの定期点検がなぜ重要なのかを掘り下げていきましょう。

ホイストクレーンとは?

ホイストクレーンとは、工場や倉庫、建設現場などで重量物を吊り上げ、水平に運搬するための機械装置です。日本語での正式名称は「床上操作式クレーン」といわれることもあります。

「ホイスト」とは、もともと「巻き上げる」という意味の英語で、ロープやチェーンを巻き上げて荷物を上下させる装置を指します。このホイストに、荷物を左右に移動させる「横行装置」と、建物の梁に沿って前後に移動させる「走行装置」を組み合わせたものがホイストクレーンです。

人力では持ち運びが困難な重い部品や材料、製品などを、安全かつ効率的に移動させることができ、生産性向上や労働環境の改善に大きく貢献します。

ホイストクレーンの定期点検はなぜ必要?

工場や倉庫で大活躍するホイストクレーン。重量物を安全かつ効率的に運搬するために不可欠な存在ですが、その安全性を保つためには定期的な点検が欠かせません。

点検を怠ると、思わぬ事故やトラブルにつながる可能性があります。今回は、ホイストクレーンの定期点検がなぜ重要なのかを掘り下げていきましょう。

1. 法令で定められた事業者の義務

ホイストクレーンの定期点検は、労働安全衛生法クレーン等安全規則によって事業者に義務付けられています。つり上げ荷重が0.5トン以上のクレーンは、以下の自主検査を定期的に実施し、その結果を3年間保管しなければなりません。

  • 月次点検(1ヶ月以内ごとに1回): 安全装置、ブレーキ、ワイヤーロープ、コントローラーなど、重要な部品に異常がないかを確認します。
  • 年次点検(1年以内ごとに1回): 月次点検の項目に加えて、定格荷重の荷を吊り上げて動作に問題がないかを確認する「荷重試験」や、クレーン本体や基礎部分の点検を行います。
  • 作業開始前点検(毎日): クレーンを使用する前に、巻過防止装置やブレーキ、クラッチなどの機能が正常に作動するかを点検します。

これらの法令を遵守しない場合、50万円以下の罰金が科せられることもあります。

2. 重大な労働災害を未然に防ぐ

ホイストクレーンは重量物を扱うため、少しの不具合が重大な事故につながる可能性があります。例えば、ワイヤーロープの素線切れやフックの変形、ブレーキの効き不良といった問題は、荷の落下やクレーンの破損を引き起こし、作業者の命を危険にさらしかねません。

定期点検は、このような潜在的なリスクを早期に発見し、適切な処置を施すことで、重大な労働災害を未然に防ぐための最も確実な方法です。

3. クレーンの性能を維持し、寿命を延ばす

定期的な点検は、事故防止だけでなく、クレーンを常に最高の状態に保つためにも重要です。部品の摩耗や劣化を早期に発見して交換することで、故障による突然のライン停止を防ぎ、生産性を維持できます。また、計画的なメンテナンスはクレーン本体への負担を減らし、結果として機器の寿命を延ばすことにもつながります。

定期点検は、安全を確保し、効率的な操業を維持するために、欠かせない取り組みと言えるでしょう。

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