
工場のコンプレッサーの更新を検討する際、「今と同じレシプロ式でいいのか、スクリュー式にすべきか」「静かになると聞いたがスクリュー式は高い」「そもそも何が違うのかよくわからない」といったお困りごとはありませんか。
コンプレッサーは10年以上使う設備です。選び方を間違えると、電気代・保守費・騒音といった形で長く負担が残ります。
今回はそのようなスクリュー式とレシプロ式の違いについて、構造の差から選定の判断基準までをご紹介いたします!
違いは「往復させるか、回転させるか」
結論からお伝えすると、両者の差は空気を圧縮する仕組みにあり、そこから運転の得意・不得意がすべて決まります。
レシプロ式(往復動式) シリンダの中でピストンを往復させ、空気を押し縮めます。自動車のエンジンと同じ構造です。仕組みが単純で、高い圧力をつくりやすく、本体価格も抑えられます。一方で往復運動のため振動と騒音が大きく、吐出空気に脈動が出ます。連続して回し続けると発熱が大きくなるため、休みを挟みながらの運転が前提になります。
スクリュー式(回転式) かみ合った2本のローターが回転し、その隙間で空気を連続的に押し込んで圧縮します。回転運動なので振動が少なく静かで、脈動もほとんどありません。連続運転に強く、大きな風量を安定して供給できます。ただし本体価格は高く、ローターとオイルの管理が必要です。
比較表
| 項目 | レシプロ式 | スクリュー式 |
| 圧縮方式 | ピストンの往復 | ローターの回転 |
| 適した容量帯 | 小容量(0.75〜37kW程度) | 中〜大容量(11kW以上) |
| 吐出圧力 | 高圧まで対応しやすい | 0.7〜0.85MPa前後が中心 |
| 脈動 | あり(レシーバタンクで緩和) | ほとんどなし |
| 騒音・振動 | 大きい | 小さい |
| 運転パターン | 断続運転向き | 連続運転向き |
| 効率 | 部分負荷では有利な場合あり | 連続・高負荷で有利 |
| 本体価格 | 安い | 高い |
| 日常保守 | エアフィルタ、ベルト、バルブ | エアフィルタ、オイル、オイルセパレータ |
| 主なオーバーホール | バルブ・ピストンリング交換 | 本体(エレメント)の分解整備 |
| 設置 | 据付が容易 | 排熱・換気の計画が必要 |
| 使用年数の目安 | 10〜15年 | 10〜15年(本体整備を挟む) |
選定を分ける5つの判断軸
1. 空気の使い方が連続か、断続か
最も重要な軸です。エアを使う設備が一日中動いており、消費量が安定しているならスクリュー式が向いています。加工時だけエアガンを使う、成形機のエア抜きだけ、といった断続的な使い方であればレシプロ式で十分です。
スクリュー式は無負荷運転中も定格の2〜3割程度の電力を消費します。使用量が少ない工場に大きなスクリュー式を入れると、動いていない時間の電気代がかさみます。
2. 必要な空気量を実測しているか
更新時に最も多い失敗が、過大選定です。「今が22kWだから次も22kW」と決めてしまうケースがよくありますが、設備が減っていたり、逆に増設で足りなくなっていたりします。
現状の負荷率(負荷運転時間の割合)を1週間ほど測ってください。負荷率が3割程度しかないなら、1サイズ下げるか、インバータ機に替えるだけで電気代が大きく変わります。
SNGでは生産設備の増強によるエアー不足を受け、コンプレッサーを大型機へ更新した事例がございます。仮設コンプレッサーを用いて、生産ラインを止めずに入れ替えを行いました。詳しくは下記をご覧ください。
>>55kwコンプレッサー増設工事
3. 圧縮空気に油分が入ってよいか
塗装、食品、電子部品、医療機器などでは、空気中の油分が製品不良につながります。この場合はオイルフリー仕様が必要です。スクリュー式にはオイルフリー機がそろっており、大風量を安定供給できます。レシプロ式にもオイルフリー機はありますが、容量が限られます。
油分が問題にならない一般的な加工工場であれば、給油式で問題ありません。
4. 設置場所の条件
スクリュー式は静かなため、工場内に設置しても作業環境を悪化させません。逆にレシプロ式は騒音と振動が大きく、事務所や検査室の近くには向きません。
一方でスクリュー式は排熱が大きく、換気が不十分だと吸込温度が上がって能力が落ち、故障の原因にもなります。狭い機械室に押し込む計画であれば、換気設備もあわせて検討が必要です。
SNGではコンプレッサー室の換気改善事例がございます。室温上昇による設備停止の懸念を、吸気用換気扇の増設で解消しました。詳しくは下記をご覧ください。
>>換気扇設置工事
また、SNGではスクリュー式コンプレッサーの整備事例もございます。詳しくは下記をご覧ください。
>>スクリューコンプレッサー整備
5. 初期費用とランニングコストのどちらを重視するか
コンプレッサーの生涯コストは、その大半を電気代が占めます。本体価格は全体の1割程度にすぎません。
したがって、稼働時間が長い工場ほど本体価格の差はすぐに埋まります。一日8時間・週5日以上動かすのであれば、電気代で判断すべきです。逆に、たまにしか使わない予備機や小規模な用途では、初期費用の安いレシプロ式が合理的です。
インバータ機という選択肢
近年のスクリュー式には、必要な空気量に合わせて回転数を変えるインバータ機があります。使用量が時間帯によって変動する工場では、無負荷運転のムダが減り、消費電力を1〜2割下げられることがあります。
ただし、常に高負荷で使う工場では固定速機のほうが効率がよく、インバータ機の価格差を回収できません。負荷変動が大きいかどうかで判断してください。
複数台ある工場では、台数制御(複数台を必要量に応じて自動で運転・停止させる制御)を組み合わせると、さらに効率が上がります。
既存コンプレッサーの寿命や、オーバーホールと買い替えの判断基準については、こちらのコラムで詳しく解説しております。
>>工場のコンプレッサーの寿命は10年?オーバーホールと買い替えの判断基準
選び方のまとめ
レシプロ式が向いているケース
- エアの使用が断続的で、稼働時間が短い
- 必要な空気量が少ない(おおむね7.5kW以下)
- 初期費用を抑えたい
- 高い吐出圧力が必要
スクリュー式が向いているケース
- 一日中エアを使い、消費量が安定している
- 必要な空気量が多い
- 騒音・振動を抑えたい
- オイルフリーの空気が必要
- 電気代を下げたい
まとめ
コンプレッサーの選定は、カタログの型式を比べる前に、自社の使い方を数字にすることから始まります。
- レシプロ式は断続運転・小容量・低コスト向き、スクリュー式は連続運転・大容量・低騒音向き
- 更新時はまず現状の負荷率を測る。過大選定が最大のムダになる
- 稼働時間が長いほど、本体価格より電気代で判断すべき
- 負荷変動が大きいならインバータ機、複数台あるなら台数制御を検討する
現状の負荷率がわからない、どのサイズが適正か判断できないという場合は、実際の運転データを取るところからご相談ください。



